FUJI ROCK FESTIVAL '21|フジロックフェスティバル '21

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2021.01.02

NEWS

KEEP ON FUJI ROCKIN' Ⅱ 〜On The Road To Naeba 2021〜
当日のライブレポート

2020年8月21日(金)22日(土)23日(土)に新潟県・苗場スキー場で開催予定だったフジロックが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため2021年8月に延期されることが発表されたのは2020年6月のこと。当初開催を予定していた三日間には、「FUJI ROCK FESTIVAL'20 LIVE ON YOUTUBE」と題して、過去のフジロックのパフォーマンスや、サンボマスターの撮り下ろしライブ、2020年でヘッドライナーをつとめるはずだった電気グルーヴの新曲「Set you Free」のミュージックビデオを初公開した。1997年に誕生して以来、フジロックが初めて開催されなかった2020年。もはやこのフェスを生きがいとする参加者の心の穴を埋めるように、また、未曾有の事態に大打撃を受けたエンターテイメント界において、日本にフェス文化を根づかせた世界的フェスとしての気概を表すように、できることに最大限に取り組んだのが、この「キープ・オン・フジロック」プロジェクトである。

そして今回、目線を具体的な未来へと向けて、2021年8月に苗場で開催するフジロックのキックオフイベントとして<KEEP ON FUJI ROCKIN’ II〜On The Road To Naeba 2021〜>を2020年12月31日(木)大晦日にオールナイトで開催した。新型コロナウイルス感染者数の急増や医療機関の逼迫状況などを考慮した結果、有観客ライブは断念し無観客の東京ガーデンシアターからの生配信となったが、イベント本編の前には、最大収容人数8,000人分の空の客席という現実をバックにしながらも、フジロックを主催するSMASH代表・日高氏は視聴者に語りかけ、2021年のフジロック開催を目指すことを力強く明言した。

フジロックでの名演も思い浮かぶ折坂悠太(重奏)、カネコアヤノ、The Birthday、PUNPEE、cero、CORNELIUS、Tempalay、GEZAN、THE ALEXX(出演順)という9組は、あらゆる意味で新しい時代になる2021年に向けたイベントにふさわしく、オルタナティブな精神に溢れていた。人や時代に根付く歌を変幻自在に表現した折坂悠太、日常を愛でるフォーキーな歌をパワフルに届けたカネコアヤノといった新世代。そして、ロックンロールの懐の深さを再確認させたThe Birthday、日本のヒップホップ界を代表する存在になったことを証明したPUNPEE。ceroは8人編成により“合奏”そのものの豊さも体現し音楽の滋養を届け、CORNELIUSは映像の完璧なアプローチでも圧倒した。ポップかつサイケデリックな世界を築き上げて2021年一発目のアクトという期待に応えたTempalay、そして、確信のレベルミュージックがあまりにも頼もしかったGEZAN、ダンスミュージックとポストロックをベースにした壮大な音像でイベントを締めくくった注目株のTHE ALEXX、と音楽の可能性を伝えるライブだけが続いた。また、これらのライブの合間には、「NAEBA SESSIONS」と題し、11月の苗場で事前収録されたBIM@木道亭、STUTS@ところ天国、TENDRE@みどり橋、T字路s@ドラゴンドラといったスペシャルなパフォーマンス映像も用意された。今もあの場所で息づいている豊かな木々、澄んだ空気、美しい水流を改めて目にすると、輝かしい思い出を共有するという次元以上に、来たるべきフジロック開催の時を強く想像させたのだった。未来は、フジロックを愛する私たちの手で作っていこう、と視聴者に前を向かせたような約12時間におよぶ配信であった。

二十数年前、既存のシステムや価値観から抜け出して自然と音楽との共生を実現しようと、本当の山奥に音楽の楽園を築き上げたフジロック。2021年、再び約束の地「苗場」で開催するためのキックオフイベントは希望を胸に無事終了した。

テキスト:堺 涼子

FUJIROCK Official